実務テンプレ

トリアージ判定シート(決定理由)テンプレ
(CVEを3段階で説明できる形にする)

CVEトリアージが回らない原因は、判断の難しさではなく 「決定理由が残らない/人によってブレる」 ことです。

結果として、OEM照会や監査でこうなります。

  • 「影響なし」の根拠が説明できず、追加質問が止まらない
  • 期限(SLA)だけが迫り、一次回答が遅れる
  • 同じCVEを何度も調べ直す(判断が資産化されない)

そこで、期限(SLA)・影響・確度・対応方針を“3段階”で固定し、誰が見ても説明できる形にしたのがこの トリアージ判定シート です。

このシートで決めること(最小4項目)

期限(SLA) いつまでに何を返す必要があるか
影響(Impact) 安全・品質・範囲・外部到達性の大きさ
確度(Confidence) その判断が“どれだけ根拠に支えられているか”
対応方針(Treatment) いま何をするか(対応必須/要確認/対応不要)

ここが揃うと、VEX(影響あり/なし/調査中)への変換が一瞬でできます。

【定義】3段階ルール(コピペ用)

このルールをシートの別タブや社内Wikiに貼っておき、判断基準を統一します。

期限(SLA)

  • 高: OEM/顧客期限あり(〜5営業日など)/一次回答必須
  • 中: 期限あり(交渉余地あり)/定例内で一次回答
  • 低: 期限なし/バックログ管理

影響(Impact)

  • 高: 外部IFあり・遠隔成立の可能性/安全・出荷に関係/搭載台数が多い
  • 中: 条件付き・限定範囲(特定機能/特定顧客)
  • 低: 内部限定/機能未使用・無効/実行経路が成立しにくい

確度(Confidence)

  • 高: 対象製品・対象版数が確定/搭載根拠(SBOM等)+一次情報(公告/修正)あり
  • 中: 搭載候補だが版数未確定/情報不足(追加確認が必要)
  • 低: 一般情報のみ/CPE一致レベル/搭載未確認

対応方針(Treatment)

  • A:対応必須 (=VEX: Affected)
  • B:要確認 (=VEX: Under Investigation/調査中+次回更新日)
  • C:対応不要 (=VEX: Not affected/根拠+条件を残してクローズ)

【テンプレ】トリアージ判定シート(TSV)

ここから下をコピーして、ExcelのA1セルに貼り付けてください(タブ区切りで自動展開されます)。

triage_decision_sheet.tsv
案件ID 受付日 通知元 相手期限 SLA(高/中/低) CVE 対象製品 対象製品版数(暫定/確定) コンポーネント名 コンポーネント版数 搭載(Yes/No/不明) 到達性(Yes/No/不明) 影響(高/中/低) 確度(高/中/低) 対応方針(A/B/C) VEX(affected/not_affected/under_investigation) 決定理由(1〜3行) 次回更新日 決定者 承認者 証跡リンク/ID 備考 例:INC-2026-0001 2026-07-03 NVD - 低 CVE-2026-XXXX メーターパネル v2.3.1(確定) OpenSSL 3.0.13 Yes No 低 高 C not_affected 外部IFなし(閉域)のため成立条件不在。SBOM行ID:123参照。 2026-07-10 山田 佐藤 CHG-88/SBOM-123 設定変更時は再評価

“決定理由”の書き方(迷わない型)

シートの「決定理由」欄には、長文は不要です。以下の3要素を1〜3行で書くだけでOEM説明に通ります。

  • 根拠(何を見たか): SBOM/部品表行ID、公告、試験、設定
  • 結論の理由: 非搭載/到達性なし/影響範囲外/緩和済み
  • 条件(前提): 機能無効、外部IFなし、特定構成のみ 等

このままのテンプレを、自社向け(製品/版数/証跡/承認線/SLA)に整備したい方はご相談ください。

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付録:Auto PSIRT Cloudで“運用標準化”する時のポイント

このシートをシステム(Auto PSIRT Cloud等)に乗せる場合、以下の設計にすると自動化が活きます。

  • 判定シートの列をそのまま チケット項目 にする(入力の迷いを消す)
  • 証跡リンク/ID を必須化し、「影響なし」の再説明コストをゼロにする
  • VEX(affected / not_affected / under_investigation)を固定し、OEM回答書にそのまま転記できる状態にする

FAQ:トリアージ判定シートについて

Q1. トリアージ判定シートは、なぜ必要ですか?

「影響あり/なし」よりも 決定理由(根拠・前提・対象版数) が監査やOEM照会で問われるためです。判定理由が残ると追加質問が減り、同じ判断を繰り返さずに済みます。

Q2. 3段階(高/中/低)で十分ですか?

最初は十分です。細かくしすぎると入力が止まります。まず3段階で運用を回し、必要になった項目だけ増やす方が成功率が高いです。

Q3. 「要確認(調査中)」のときに必ず書くべきことは?

次回更新日です。結論よりも「いつ確度が上がるか」を示す方がSLA運用が安定します。

Q4. VEXはどう書けばいいですか?

対応方針A=affected、B=under_investigation、C=not_affected、のように単純に対応させるとブレません。

この判定シート、AIで自動入力しませんか?

Auto PSIRT Cloudなら、脆弱性情報を取り込むだけで、このシートに該当する「期限・影響・確度」の推測とVEXの一次判定をAIが自動で実施します。